ヘンプとリネン・ラミーの違い?
夏になると洋服屋さんでは麻の製品が並ぶようになります。
品質表示を見なくても、手触りで「麻だ」と分かる人も多いでしょう。
ところが、実際に品質表示を見ると、「ラミー」と表示されていて混乱したことはありませんか?
麻とは違うものなのでしょうか。
実は3つは全て「麻」!
「リネン」であれば「麻」だということは多くの人が分かります。ですがヘンプ、ラミーとなると、どういったものか説明できるという人は少ないのではないでしょうか。実は、リネンは勿論、ヘンプもラミーも全て「麻」なのです。
それでは「麻」とは何かというと、植物から採れる繊維の総称を「麻」としています。日本では40~50位の種類があるともされています。
リネンの意味と繊維の特徴!
亜麻とも呼ばれ、アマ科の植物です。
繊維の毛足が短く細いので、布になると柔らかくしなやかで、速乾性に優れています。
そのため、寝具、縫糸に盛んに利用され、最近ではリネン製のシャツなどの衣類が夏の定番です。
ちなみに昔、文化の主流であったヨーロッパは、もともと気候が涼しい地域であったため、暑い地方で育つ綿の素材は手に入りにくいものでした。
それよりも亜麻が良く育ち、手に入りやすい繊維であったのです。
そのためこの亜麻を使用した寝具が盛んに使われるようになりました。
寝具・タオル類をリネンと呼ぶのはその頃の名残とされています。
ラミーの意味と繊維の特徴!
苧麻(ちょま)とも呼ばれ、イラクサ科の植物です。
繊維にすると長くて太く、硬くコシがあります。衣料、寝具、縫糸などに使われます。
ヘンプの意味と繊維の特徴!
大麻(アサ科)の植物のことです。
いわゆる植物そのものの意味での「麻」の場合には、これが当たります。
繊維の特徴は長さや太さにばらつきがあることです。
硬くコシがあり、チクチクします。
そのため、衣料用に使われることはあまりありません。
ロープなどに使われます。
3つの違いと共通点!
そもそも、植物学の分類上も全く異なる3つなので、植物の状態での見た目も違うものです。
しかし、繊維にした時の共通点としては、通気性、吸湿性、放湿性、耐久性に優れているという点が共通しています。
夏物衣料に使われることが多いのは、こうした特徴からなのです。
洋服の表示は少し複雑!
洋服が海外で生産されることが増えるに従い、品質表示のラベルも英語やその他の言語で記載されていることも多くなりました。
そのため、「麻」の表記の他に、海外で使われている植物分類上の「ラミー」や「ヘンプ」といった表記も混在するようになっているのです。
しかし、洋服の表示の場合には注意すべき点があります。
上述のように「麻」は、植物の繊維の総称です。
そうすると、洋服の表示で「麻」とある場合、3つの繊維全てを含むと考えるかもしれませんが、洋服の表示では違うのです。
「麻」とあった場合には「リネン」と「ラミー」のどちらかだけで、「ヘンプ」は含まれません。
ヘンプの場合は「指定外繊維」として表記しなければいけないのです。
いかがでしたか?
今度洋服などで「麻」の表示を見たら、「麻」の内の一体何という繊維なのか、調べてみるのも面白いかもしれません。